インボイス制度「多く寄せられるご質問」 解説 ~出張旅費等特例編~
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インボイス制度「多く寄せられるご質問」 解説 ~出張旅費等特例編~
インボイス制度「多く寄せられるご質問」 解説 ~出張旅費等特例編~
はじめに
2023年10月1日に導入されたインボイス制度ですが、「これはどう処理すれば良いのかな…」と、実務上迷われることもまだまだ多い段階かと思います。国税庁は、そのような事業者の方々等からの質問に応える形で「多く寄せられるご質問」を順次更新しています。今回のコラムでは、その中から「出張旅費等特例」の内容とその適用範囲について分かりやすく解説します。
出張旅費等特例とは?
出張旅費等特例とは、企業が従業員等に対して支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当など)の経費について、インボイスの保存が不要で仕入税額控除を受けられるという特例です。出張旅費等特例を適用することで、企業側と従業員側双方の事務および経理処理の手間が削減できます。
出張旅費等特例を適用可能な取引を帳簿に記載するとき、通常の帳簿記載事項に加えて「出張旅費等特例」のように特例適用している旨を合わせて記載することで、本特例を適用することが可能です。
出張旅費等特例は、派遣社員や出向社員にも適用できる?
では、出張旅費等を従業員以外に対して支給した場合は、どのような取扱いになるのでしょうか。「多く寄せられるご質問」の問15に、出張旅費等特例の適用可否を判断する際に参考となるQ&Aが更新されています。
派遣社員等へ出張旅費等の支払いに伴う取扱いは、①派遣元企業等へ支払うケースと、②(派遣元企業等を通じて)派遣社員等本人へ支払うケースの2つに分けられます。
①派遣元企業等へ支払うもの
支払った出張旅費等が、直接的に派遣社員等に支払われるものではなく、派遣元企業等に対する支払いとして扱われる場合には、出張旅費等特例の適用はできません。そのため、仕入税額控除を受けるためにはインボイスの保存が必要です。
②(派遣元企業等を通じて)派遣社員等本人へ支払うもの
一方で、派遣元企業等が出張旅費等を預かり、それが派遣契約等に基づいて派遣社員等に直接支払われる場合には、出張旅費等特例の対象となりますので、一定の帳簿の保存のみで仕入税額控除を受けることができます。
出張旅費等特例は、内定者や採用面接者にも適用できる?
次に、内定者や採用面接者に対して交通費等を支給した場合の取り扱いを確認します。こちらも、①内定者へ支払うケースと、②採用面接者へ支払うケースの2つに分けられます。
①内定者へ支払うもの
内定者のうち、労働契約が成立していると認められる方へ支払った交通費等については、出張旅費特例の対象です。労働契約が成立していると認められるか否かの判断については、例えば内定通知を受けて入社誓約書等を提出している等、客観的な状況を踏まえて判断されます。
②採用面接者へ支払うもの
対して、採用面接者へ支払った交通費等は、出張旅費等特例の対象外です。採用面接者は、従業員等には該当しないためです。
まとめ
今回は、インボイス制度における出張旅費等特例に関して詳しく解説しました。国税庁から提供される指針を正しく理解して、インボイス制度を適切に運用するために、役立てていただければと思います。
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