売手負担の振込手数料の処理方法について

お知らせ・コラム

売手負担の振込手数料の処理方法について

インボイスQ&Aを改訂

国税庁は4月14日にインボイス制度に係る「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aを改訂しました。今回は問を15問追加、25問の既存の問の改訂のようです。

今回はその中から【問30】売手が負担する振込手数料相当額についてご紹介したいと思います!!
※問30抜粋
問 30 売手からの代金請求について、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金 額から差し引いて支払うことで売手が負担する商慣行があります。この売手が負担する振込 手数料相当額について、適格請求書等保存方式の開始後、売手が代金請求の際に既に適格請 求書を交付している場合に、必要となる対応を教えてください。【令和5年4月追加】
⇒国税庁はこちらに対し、対応が分かれるとして、3つの方法を明示しております。
3つの処理方法
1.売手が振込手数料相当額を売上値引きとする場合
売手は売上に係る対価の返還等を行っていることになるが、一般的に振込手数料相当額は1万円未満と考  
えられるため、適格返還請求書の交付義務が免除される。
2.振込手数料相当額について、売手が買手から「代金決済上の役務提供(支払方法の指定に係る便宜)」を受けた対価とする場合
売手は、請求書金額から差し引かれた振込手数料相当額に仕入税額控除を適用するには、買手から交付を受けた適格請求書の保存が必要となる。売手は、その振込手数料相当額について仕入明細書等を作成し、買手の確認を受けて仕入税額控除を行うこともできる。

※一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置あり(問108抜粋)
⇒対象:基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下である事業者、国内において行う課税仕入れについて
⇒要件:一定の事項が記載された帳簿の保存
⇒期間:令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間
3.買手が売手のために金融機関に対して振込手数料を立替払いしたものとする場合
売手は、買手が金融機関から受け取った振込手数料に係る適格請求書及び買手が作成した立替金精算書等の交付を受け、振込手数料に係る仕入税額控除を行うことになります。(この場合、買手が請求金額から 差し引く金額が金融機関の振込手数料と同額である必要があります。)

●買手が金融機関のATMを使って振込手続きを行った場合、そのATM手数料は「自動販売機特例」の対象となるため、適格請求書及び買手が作成した立替金精算書等の保存は不要となります。
※買手に金融機関での振込であることを確認し、一定の要件の下で帳簿のみの保存することで仕入税額控除を行うことが可能
まとめ
①売上値引きとする場合は売手の適格返還請求書の交付は免除
②差し引かれた手数料分の仕入税額控除には適格請求書が必要、または仕入明細書の作成と買手への確認が必要
※一定規模以下の事業者については軽減措置あり
③買手が立替えた場合は立替金精算書等が必要
④ATMからの振込については自動販売機特例の対象

振込手数料の取扱いについては実務上避けることはできないものです。
しっかりと確認してインボイス制度開始まで対応できるようにしておきましょう。
 

ご相談・お問い合わせ

ページの先頭へ