スタートアップ経営講座(事業を成功に導くためのビジネスモデルについて)

お知らせ・コラム

スタートアップ経営講座(事業を成功に導くためのビジネスモデルについて)

はじめに
新たに事業を始める場合、或いは既に事業をスタートしている場合でも、その事業が本当に事業として成り立つのかどうかを見極めるのは大変難しいことです。
出たとこ勝負、という割り切りも大切かもしれませんが、できれば少しでも成功する確率を高めたいものです。
そこで、これから始める事業又は既にスタートしている事業について、その事業が本当に事業として成立し、収益を上げることができるかどうかを、論理的・客観的に検証することをご提案します。
そして、その検証方法の1つに「ビジネスモデルの構築と検証」があります。

 

ビジネスモデルとは

まず、ビジネスモデルとは、「誰に、何を、どのように提供し、なぜ利益を生み出せるのか」という事業の設計図のことです。
通常、「ビジネスモデルの構築」は、新規の事業を考えるときに行うものですが、ここでは、既に事業そのものは決まっている前提で、現状の事業をビジネスモデルのフレームワークに当てはめて再構築し、そのビジネスモデルを客観的に検証していくことにより、事業の成功確率を高めていくことを目的とします。

それでは、事業を成功させるための「ビジネスモデル」について、4つの基本的な構成要素と検証・構築の過程をそれぞれのステップに分けて、分かりやすく説明していきましょう。

ビジネスモデルの4つの基本構成要素

ビジネスモデルは、以下の4つの問いに答える形で考えていくと、その構造が明確になります。
   
この4つの基本構成要素が整合性を持ち、かつ競合他社には真似できない独自の優位性を持っているかどうかが、そのビジネスモデルの成否を分けます。

ビジネスモデルの構築と検証<5つのステップ>

ビジネスモデルの構築と検証を行うためには、<5つのステップ>が必要となります。

この<5つのステップ>は、上記の4つの基本構成要素を具体的に検討しながらビジネスモデルを構築し、このビジネスモデルが事業として成り立つか(実現可能性と収益性)を検証していくためのステップです。

ステップ1:「Who(ターゲット顧客)」の特定と顧客課題の明確化
(1)ターゲット顧客(Who)の特定と具体化

 自社が提供する商品・サービスを購入してくれる、又は購入が期待される「想定顧客(ペルソナ)」を特定します。
 より具体的に特定するために、年齢、性別、職業、行動パターンなどを詳細に設定しましょう。
 相手が企業の場合は、企業そのものや経営者の特性を詳細に考えます。

(2)顧客の課題の明確化

 「想定顧客(ペルソナ)」が現状抱えている課題、不満、不便、非効率なことは何か?
 徹底的に顧客の立場に立って、本当に顧客が困っていることは何か、当社に期待していることは何か、を考えます。

ステップ2:「What(顧客に提供する価値)」の明確化と他社との差別化
(1)顧客に提供する価値の明確化
 顧客課題の解決のために、当社はどんなメリット(価値)を提供できるか?
 自社の商品・サービスを提供することにより、具体的に、顧客にどのようなメリット(価値)を提供できるかを考えます。
 それが、顧客課題の解決にとってあまり効果的でない場合は、商品・サービスの内容を根本から見直すことも必要です。
 顧客課題の解決とは、顧客の本質的なニーズに応えることです。
 あくまでも「もの」や「サービス」を売るのではなく「価値」を売ることを考えます。
(2)競合他社との差別化
 ①自社の独自性や強みは何か?
 競合他社と比較して、自社の独自性や強みを発揮できるものを、とことん突き詰めて考えます。
 この場合、比較のために競合他社の強みも同時に考える必要があります。
 この独自性や強みがないと激しい競争に勝つことは難しいため、現時点ではっきりしたものがない場合でも、自分が得意なもの、
 興味があるものを中心に、「自社の強みをこれから作り上げていく」、くらいの気概が必要です。
 ②自社の商品・サービスは、自社の独自性・強みを明確に反映したものか?
 いくら独自性や強みがあったとしても、顧客に提供する商品・サービスにそれらが反映したものでなければ意味がありません。
 もし反映していない場合は、商品・サービスを見直します。そうすることで、競合他社との差別化を図り、
 競争優位に立つことができます。
 但し、商品・サービスを見直す際の注意点は、「顧客課題の解決(=顧客の本質的なニーズに応える)」が優先される、
 ということです。
ステップ3:「How(商品・サービスの提供方法)」の検討

顧客に提供する価値(商品・サービス)が明確化し、自社の強みを生かした差別化した商品・サービスが出来上がったとしても、今度は、それをきちんと販売し、収益につなげなければいけません。

いくら素晴らしい商品・サービスでも、顧客に正しく認知され、きちんと顧客の元にそれらを届けなければ意味がありません。
以下では、顧客に商品・サービスを提供するための「販売チャネル」の検討、顧客へ商品・サービスを売り込むための「集客チャネル(マーケティング)」の検討、そしてそれらを行うために、どのような経営資源を自社が持っているか、を検討し、自社のビジネスモデルを更に明確なものにしていきます。

(1)販売チャネルの検討
 顧客に自社の商品・サービスをどのように提供するか?
 (例:ECサイト/実店舗/訪問販売/代理店販売など)
(2)集客チャネルの検討(マーケティング)
 顧客に自社の商品・サービスをどのように売り込むか?又は認知してもらうか?
 (例:ホームページ/SEO対策/SNS/web広告/リスティング広告/口コミ・紹介/折込チラシ/ポスティング
 /テレビ・ラジオCM/店頭など)
(3)価値を提供するために必要な経営資源
 価値を提供するために又は差別化を図るために自社はどのような経営資源を持っているか?
 (例:人材/立地/設備/ITシステム/特許/ブランド/技術力/営業力など)
ステップ4:「Why(収益性)」の検証(事業として成り立つかの確認)
このステップが、「そのビジネスは本当に事業として成り立つのか」という問いに答える最も重要な部分となります。
以下では、収益(売上)をどのように獲得していくか、顧客に受け入れてもらうためにはどのように価格を決定すればよいのか、そして費用構造を把握した上で、利益を出すためにはどのくらい売上を上げなければいけないのか、の検証を行います。
(1)収益の獲得方法の検討と価格戦略

 ①どのように売上を立てるか?
 自社の商品・サービスに合致した収益獲得方法を選択します。

 場合によっては、サブスクリプションやフリーミアムなど、従来にはない方法の検討も必要です。
 (例:製造販売/小売・卸売/広告収入/成功報酬/サブスクリプション/手数料収入/マッチング/フリーミアムなど)
 ②設定した価格は顧客に受け入れられるか?(価格戦略の選択)
 競合他社に勝つため又は早期に市場に浸透することを目的として低価格路線でいくのか、
 逆に、自社の商品・サービスの価値やブランドを重視して高価格路線でいくのか、を選択した上で、
 それらの価格が顧客や市場に受け入れてもらえるかを検証します。
 (例:原価加算法(利益率一定)/競争志向型(低価格戦略)/市場浸透戦略(市場支配のため初期に低価格)
 /バリューベースプライシング(価値を重視した高価格戦略)など)

(2)費用構造と採算ラインの把握

 ①事業を運営するためにかかる主なコストは何か?
 収益性を確保するためにはコストを明確に把握することは重要です。
 主なコストとなるものは以下のとおりです。
 (例:人件費/仕入れ/設備費/広告費/システム費用/家賃など)
 ②どれくらいの売上があれば利益が出るのか?(損益分岐点の把握)

 主なコストを抑えた上で、利益を出すためにはどのくらいの売上を上げなければいけないのかを検証します。

 この売り上げを損益分岐点売上といいます。
 損益分岐点売上が、とうてい実現できそうにない水準だった場合には、コストを徹底的に見直す必要があります。

ステップ5:ビジネスモデルの検証と改善
最後は、ステップ1~4までで構築したビジネスモデルが、本当に顧客に受け入れられるかを検証するためのステップです。
最初から完璧なビジネスモデルを作るのは困難なため、検証後に何度も改善を繰り返していくことが成功の秘訣です。
(1)最小限の商品・サービス(MVP:Minimum Viable Product)を作る
 最も重要な価値を届けられる最低限の機能だけを持つ試作品・サービスを作り、実際に市場に出してみます。
 これは、以前のコラムでご説明しました、「リーンスタートアップ」に該当するものです。
(2)顧客からのフィードバックを得る
 MVPを使った顧客から、率直な意見を聞き、本当にニーズがあるか、期待通りの価値を提供できているかを確認します。
(3)ビジネスモデルの改善と繰り返し
 フィードバックに基づいて、ターゲット(顧客)、提供する価値(商品・サービス)の内容、商品・サービスの提供方法、
 収益獲得方法、価格戦略、費用構造のいずれか、またはすべてを見直し、改善を繰り返していきます。
 そして、改善を繰り返していくことにより、より強固で持続性の高いビジネスモデルの構築が完成していきます。

 

K’sアドバイス

いかがでしたでしょうか?

世の中が多様化し、常に、顧客や市場が求めているものを提供し続けることは大変難しい時代になってきました。
一方で、インターネットの普及やAIの登場により、われわれ中小企業でも、多くの有用な情報を入手することが可能となり、またリーズナブルに活用できるツールやノウハウも増えて、やり方次第で、収益を短期間で拡大できるチャンスも生まれています。

われわれ中小企業が、このようなチャンスを掴み、大きく成長していくためには、行き当たりばったりではなく、自社の事業に関して、しっかりとしたビジネスモデルを構築しておくことが重要です。

今回は、「ビジネスモデルの構築と検証」という内容で、具体的に、自社のビジネスモデルを構築するための流れを解説いたしました。
この「ビジネスモデルの構築と検証」を行うことにより、皆さんの事業が成功する確率を、確実に高めてくれるものと信じています。

これらを参考にして、事業を成功に導くためのビジネスモデルをしっかりと構築し、ぜひとも皆さんの事業をさらに大きく成長させてください。





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