「贈与税の暦年贈与」について

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「贈与税の暦年贈与」について

今年も残すところあとわずかとなりました。慌ただしい年の瀬を迎える前に、「あの手続きをやっておけば良かった」と後悔することのないよう、今一度、確認しておきたいテーマを取り上げます。
今回は、この時期だからこそ注目すべき「贈与税の暦年贈与」について、期限を見据えてポイントを解説いたします。

税法上の「暦年基準」の理解と生前贈与の重要ポイント

税法における「暦年基準」とは、簡単に言えば、11日から1231日までの1年間を区切りとして、税金の計算を行う基準期間のことです。特に贈与税においては、この暦年基準の理解が失敗しないための鍵となります。

暦年課税制度の仕組み
日本の贈与税の基本は、この暦年基準に基づく「暦年課税」です。
1. 基礎控除枠の活用
     贈与税には、受贈者(財産を受け取る人)一人あたり年間 110万円基礎控除枠が設けられています。
    この110万円以下の贈与であれば、贈与税はかからず、申告も不要です。
    この「年間」の区切りが、まさしく11日から1231日までの暦年です。
2. 失敗しないための重要ポイント
    生前贈与を計画的に進め、基礎控除を最大限活用するための極めて重要な点は以下の2つです。
ポイント 詳細
日付の分散 毎年、日付を分けて贈与を実行することが不可欠です。例えば、20251231日に110万円を贈与し、翌日の202611日に再度110万円を贈与すれば、2年間で220万円の控除枠を有効活用できます。
「連年贈与」の回避 毎年同じ時期同じ金額の贈与を繰り返すことは避けましょう。税務署に「最初からまとまった金額を贈与する約束(契約)があった」とみなされると、連年贈与と判断され、初年度に全額が課税対象となるリスクがあります。

連年贈与を避けるための実行策
税務上の否認リスクを減らすために、贈与の実施にあたっては以下の点を工夫して記録に残すことが大切です。 
    ①
金額や時期を変動させる: 贈与する金額を毎年変える(例:100万円→105万円→109万円)か、贈与の実行時期をずらします。
   ②贈与契約書の作成: 贈与のたびに、贈与者と受贈者の間で贈与契約書を作成します。これにより、「その都度、贈与の意思が確認された」という証拠になります。
   ③財産の移転: 贈与された財産(現金など)は、受贈者の名義の口座へ実際に入金し、受贈者がその財産を自由に使用できる状態にすることが必須です(名義預金の防止)。

3. 相続開始前贈与のルール(令和5年度税制改正)
暦年課税制度の注意点として、相続開始前の一定期間の贈与は、相続財産に持ち戻されて相続税の課税対象となります(生前贈与加算)。
 改正前の期間: 相続開始前3年間の贈与が対象でした。
 改正後の期間: 令和611日以降の贈与から段階的に延長され、最終的に相続開始前7年間の贈与が加算対象となります。 このため、生前贈与の節税効果を最大限に享受するには、より早めの計画的な贈与が重要になっています。

いかがでしたでしょうか?
今回の解説が、皆様の年内における贈与手続きの確認の一助となれば幸いです。

 

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