スタートアップお役立ち講座(はじめに)

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スタートアップお役立ち講座(はじめに)

スタートアップお役立ち講座を始めます!

影山タックパートナーズ代表の影山です。
これから、起業や会社設立を考えている方、既に会社を設立し、起業を始めている方など、いわゆるスタートアップの方向けに、有用な情報を、できる限りわかりやすく、ご紹介していきたいと思います。
尚、情報提供だけではなく、私自身も20数年前に起業し、これまで多くのスタートアップ企業を支援してきた実績から、私なりのアドバイスも掲載させていただきたいと思います。

この講座が、多くのスタートアップの方々のお役に立てれば幸いです。

個人事業でスタートすべきか?それとも法人設立か?

新たに事業を始める際に、個人事業としてスタートすべきか?それとも法人を設立した方が良いのか?判断に迷いませんか?
それぞれにメリット・デメリットがありますので、最終的には、ご自身の状況や事業計画に合わせて慎重に選択することが重要です。
以下に、それぞれのメリットとデメリットをわかりやすくご説明します。
1.個人事業
<メリット>

(1)手軽に開業できる:
・税務署に「開業届」を提出するだけで、簡単に事業を開始できます。法人設立のような複雑な手続きや費用はかかりません。
・費用もほとんどかからず、即日開業も可能です。
(2)初期費用が安い:
・法人設立にかかる登録免許税や司法書士への報酬などが不要なため、初期費用を大幅に抑えられます。
(3)会計・税務が比較的簡単:
・法人に比べて、会計処理や税務申告がシンプルです。帳簿付けや確定申告も、比較的少ない知識で対応できます。

そのため税理士に依頼せずにご自身で確定申告をされる方もいます。
・税理士に依頼する場合でも、法人より費用が安価な傾向があります。
(4)自由度が高い:
・事業の運営や資金の使い道に関して、比較的自由度が高いです。個人の裁量で迅速に意思決定ができます。

<デメリット>
(1)社会的信用度が低い:
・法人に比べて、金融機関からの融資や大企業との取引において、信用度が低く見られがちです。
・対外的なイメージとして、「個人」という印象が強く、事業規模が小さいと思われやすいです。
(2)無限責任:
・事業で発生した負債や損害について、事業主個人の財産(自宅や預金など)も責任の対象となります。
・万が一、事業が失敗した場合、個人の全財産を失うリスクがあります。
(3)節税の選択肢が少ない:
・法人に比べて、利用できる節税対策の種類が限られています。
・特に、所得が高くなると、税率が上がっていく累進課税のため、所得税の負担が大きくなる可能性があります。
(4)事業承継が難しい:
・個人事業は事業主個人に紐づいているため、第三者への事業承継が難しい場合があります。
(5)福利厚生の制限:
・法人に比べて、従業員に対する福利厚生(社宅、退職金など)の選択肢が限られます。
2.法人(株式会社、合同会社、一般社団法人など)設立
<メリット>
(1)社会的信用度が高い:
・法人格を持つことで、個人事業主よりも金融機関からの融資を受けやすくなったり、大企業との取引がスムーズになったりするなど、社会的信用が高まります。
・人材採用においても有利に働きます。
(2)有限責任:
・出資した範囲内でしか責任を負わない「有限責任」となります。万が一、事業が失敗しても、経営者個人の財産まで失うリスクを軽減できます。
・(ただし、会社の借入等で個人保証を求められるケースも多く、その場合は実質的に無限責任となることがあります。)
(3)節税の選択肢が多い:
・役員報酬、退職金、生命保険料、福利厚生など、多様な節税対策を利用できます。
・所得が一定額を超えると、法人税の方が所得税・住民税の合計よりも税率が低くなる場合があります。
(4)資金調達の幅が広がる:
・融資だけでなく、株式の発行による出資など、資金調達の選択肢が広がります。
(5)事業承継がしやすい:
・法人格があるため、事業の売却や譲渡など、事業承継が比較的スムーズに行えます。
(6)決算月を自由に設定できる:
・会社の事業サイクルに合わせて決算月を設定できるため、事業年度を柔軟に管理できます。
<デメリット>
(1)設立に手間と費用がかかる:
・定款の作成、登記申請など、複雑な手続きが必要です。
・登録免許税(株式会社で約15万円~、合同会社で約6万円~)、定款認証手数料(株式会社のみ約5万円)、司法書士への報酬など、20万円~30万円程度の初期費用がかかります。
(2)会計・税務が複雑:
・法人税、法人住民税、法人事業税など、個人事業主よりも納める税金の種類が多く、会計処理や税務申告が複雑になります。
・個人事業とは違い、ご自身で申告するのはかなり難しいため、税務申告については、ほとんどが税理士などの専門家に依頼します。税理士に依頼する費用も個人事業主より高くなる傾向があります。
(3)ランニングコストがかかる:
・赤字であっても、法人住民税の均等割(年間7万円程度)が発生します。
・社会保険への加入義務があるため、給与(役員報酬含む)が発生する場合は、社会保険料の負担が生じます。
(4)自由度が低い:
・会社法や税法など、様々な法的な規制を受けます。
・事業の資金は会社の財産として扱われるため、個人の都合で自由に引き出すことはできません(役員報酬として支給するなど、手続きが必要です)。
(5)社会保険への加入義務:
・原則として、役員や従業員は社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務があります。これにより、保険料の負担が発生します。
K’sアドバイス
いかがでしたか?
それぞれにメリット・デメリットがあるため、これだけでは、簡単に決めるのは難しいかもしれません。
そこで、私からの(K’s)アドバイスです。
どちらを選択するかは、以下の点を考慮して判断すると良いでしょう。
(1)事業規模と成長性:
・最初は小さく始めて、様子を見たい、将来的に大きくする予定がないのであれば個人事業。
・将来的に事業拡大を目指したい、従業員を雇う予定がある、資金調達を考えているのであれば法人設立。
(2)初期費用と手間:
・初期費用を抑えたい、手続きを簡単に済ませたいのであれば個人事業。
(3)社会的信用度の必要性:
・取引先や金融機関からの信用度が重要であれば法人設立。
(4)所得の金額:
・事業所得が少ないうちは、個人事業の方が税金が安くなる傾向があります。
・所得が増えてくると、法人の方が節税できる可能性が高まります。
(5)リスク許容度:
・事業失敗時のリスクを限定したいのであれば法人設立。
(6)会計・税務の知識・手間:
・会計も税務申告も自分で対応したい、手間をかけたくないのであれば個人事業。
・専門家に依頼するつもりであれば、法人でも問題ありません。

さらに結論としては、ここまで読んできて、明確に、法人設立のメリットを感じない場合には、まずは、個人事業からスタートし、事業が軌道に乗って利益(所得)が出るようになってから、法人化(法人成りとも言います)を検討することをお勧めします。
利益(所得)の目安は、事業内容にもよりますが、大体、800万円から1000万円程度を目安にすると良いでしょう。







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