控除対象外消費税等について
控除対象外消費税等について
消費税法上、原則として消費税納付額の計算にあたり、仕入等で支払った消費税の控除が可能です。しかし、「課税売上高5億円超又は課税売上割合が95%未満の事業者」は、課税仕入れ等に対する消費税額等の全額ではなく、課税売上に対応する部分の金額が仕入控除税額となり、控除できない消費税が「控除対象外消費税」になります。
(※税抜経理方式を採用している場合に限る)
控除対象外消費税等の基礎知識と実務対応
控除対象外消費税等とは、事業者が負担する消費税のうち、原則として課税売上に直接関連しない部分に対して支払った消費税で、課税事業者であっても仕入税額控除の対象にならない消費税を指します。
控除対象外消費税の具体例
事務所がある企業で、従業員に提供する昼食やドリンク、福利厚生の一環として設置した施設にかかる費用は控除対象外です。例えば、社内イベントのために飲料を購入した場合、その費用には消費税が含まれますが、福利厚生に該当するため、仕入税額控除は適用されません。また、福利厚生の一環として社員のための定期健診を外部機関で受診させた場合も、その費用にかかる消費税は控除できません。
課税売上割合に基づく計算方法
企業の売上には課税売上と非課税売上が混在する場合があります。この場合、「課税売上割合」という指標を使って、控除対象外消費税を按分計算します。例えば、売上のうち非課税売上が20%の企業の場合、消費税を支払った取引のうち20%は控除対象外として扱われ、残り80%については控除の対象とされます。この計算を正確に行わなければ、結果として多くの控除対象外消費税が発生し、資金流出が生じる恐れがあります。
実務上の対応策
控除対象外消費税の負担が大きい場合、税務上の負担軽減を図るための工夫が重要です。例えば、会議用の飲食物や福利厚生の範囲で提供するサービスについて、外部の業者から直接購入するのではなく、必要に応じて社内で提供する形にすることで、支出を抑える手法が考えられます。また、税理士との定期的な相談を通じて、控除対象外消費税の整理方法や税務上の優遇措置の活用についてアドバイスを受けることが推奨されます。
控除対象外消費税の計算の重要性
中小企業においては、消費税の負担が財務に直接影響を及ぼすため、計算を誤ると予期せぬ追加納税が発生するリスクがあります。たとえば、非課税売上を見落とすと、実際には控除対象外とすべき消費税まで控除してしまう事態になりかねません。これにより、税務調査で修正申告が求められると、ペナルティも含めた多額の追加納税が生じる可能性があります。
まとめ
控除対象外消費税は、課税売上に関係しない支出の消費税について適用される制度です。計算ミスがないよう日々の経理処理で意識的に整理し、消費税が関わる経費を分類しておくことが重要です。