【要注意】登記簿に名前がないのに役員扱い?税務調査で狙われやすい「みなし役員」の基礎知識

お知らせ・コラム

  • HOME
  • お知らせ・コラム
  • 【要注意】登記簿に名前がないのに役員扱い?税務調査で狙われやすい「みなし役員」の基礎知識

【要注意】登記簿に名前がないのに役員扱い?税務調査で狙われやすい「みなし役員」の基礎知識


会社経営や経理に携わっていると、「みなし役員」というフレーズを耳にする機会があるかもしれません。とりわけ、親族で経営する同族会社において、このルールの理解不足は非常に危険です。税務調査で発覚し、思わぬ追徴課税を受けるリスクを孕んでいるからです。本記事では、みなし役員とみなされる条件や、会社に与える税務上のインパクトについて詳しく解説していきます。
 
■「会社法」と「税法」で異なる役員の定義

世間一般でいう役員(会社法上の役員)とは、取締役や監査役など、法人の登記簿謄本に正式に記載されている人物を指します。一方、法人税法(税金の世界)では、登記の有無にかかわらず「実質的に会社の経営を動かしているかどうか」という実態を重んじます。
つまり、書類上は単なる「一従業員(使用人)」であっても、税務上は「役員」として扱われるケースが存在します。これが「みなし役員」と呼ばれる制度です。

 
■みなし役員に該当する2つの代表的パターン

では、具体的にどのようなポジションの人が対象になるのでしょうか。主な判定基準は以下の2点に大別されます。
 
1. 役職・登記はないが、実質的に経営を握っているケース

取締役としての登記がなくても、会長、相談役、顧問といった肩書きで、会社の重要な意思決定(人事、資金繰り、経営方針など)に深く関与している人物は、みなし役員と判断されます。
 
2. 同族会社の従業員で、一定の株式を持ち経営に関与しているケース

社長の配偶者や家族など、同族企業で働く従業員のうち、以下の持ち株要件を「すべて」満たし、かつ「経営に従事している」場合はみなし役員となります。


・所属する株主グループ(上位順)の持株割合が一定基準(50%超など)を満たす

・本人の属する株主グループの持株割合が10%を超えている

・本人および配偶者の持株割合の合計が5%を超えている



これらの条件をクリアしつつ経営に携わっていると、執行役員や一般社員という立場でも税務上は役員扱いです。

 
■みなし役員と判定された場合のリスクと税務上の制約

みなし役員とみなされた場合、企業にとって最も痛手となるのが「給与や賞与の経費(損金)算入ルール」が極めて厳しくなる点です。これは、意図的な利益操作による租税回避を防ぐための措置です。


毎月の給与は「定期同額」が必須
一般従業員であれば、残業代や歩合などで毎月の給与が変動しても全額経費に計上できます。しかし、みなし役員は役員報酬となるため、原則として事業年度を通じて毎月同じ金額(定期同額給与)でなければ、変動した部分が経費として認められません。

賞与(ボーナス)は事前届出が絶対条件
役員に対する賞与は、基本的に経費算入が不可となっています。経費として認めてもらうためには、事前に支給時期や金額を定めて税務署へ届け出る「事前確定届出給与」という厳格な手続きを踏まなければなりません。

 
■税務調査で最も揉めやすい「配偶者への給与」

実務の現場でよくトラブルに発展するのが、同族会社における「社長の配偶者(や親族)」の扱いです。会社側は「あくまで従業員だから」と通常の社員と同じように残業代やボーナスを支給していても、税務調査において「経理や人事などの重要事項を決定しており、実質的な経営関与があるため、みなし役員である」と認定されるケースが多発しています。
この認定を受けると、過去に支給した賞与や給与の増減額が経費から除外され、結果として法人税などの重い追徴課税を科される事態に陥ります。

 
■まとめ

「みなし役員」に該当するかどうかの線引きは、「会社の経営判断にどこまで関与しているか」という実態調査に依存するため、判断が非常にデリケートです。「登記簿に名前がないから問題ない」という自己判断は禁物です。親族を会社に迎え入れる際や、有力者を顧問として招く際などは、みなし役員認定のリスクを避けるためにも、事前に税理士等の専門家へ相談することをお勧めします。

ご相談・お問い合わせ

ページの先頭へ